こんにちは!枚方市の松本司法書士事務所です。
今日は、以前に枚方市在住の依頼者からの相談を基にお話ししたいと思います!
タイトルにある通り、「相続放棄」とは人が亡くなると相続が起こりますが、
その際には、プラスの資産だけではなく、マイナスの負債も相続対象になって
しまいます。そのまますべて相続してしまったら、借金まで相続してしまい、
債権者に対して支払う必要が発生してしまい、不利益があります。
そこで、マイナスの財産が多い場合は相続放棄をする場合が多いのです。
次に、「死因贈与」ですが、死因贈与は、「私が死んだら息子にこの家を与えます」
というように、死亡を条件として生前に交わした贈与契約です。
あくまで贈与者と受贈者との契約です。よく似たものに「遺贈」がありますが、
この「遺贈」は契約行為ではなく、一方的な意思表示(単独行為)で成立
しますが、遺言が必ず必要になります。
話が少し脱線しましたが、今回の相談内容に戻ります。
依頼者より、「父が死亡して相続が発生したが、借金がかなりあり相続放棄を
したい、また、父と生前に交わした死因贈与契約がありそれを基に不動産の
移転登記をお願いしたい」との内容でした。
うん!?待てよ!?要は借金は相続放棄で無くして、死因贈与でもらうもん
だけもらう、という事か・・・。私は違和感を覚えたので、依頼者には検討の上
連絡します、とお帰り頂きました。
そこから調べに調べまして・・・。似たような裁判判決(判例)がありました!
最高裁判所平成10年2月13日の判決
「限定承認をした相続人が死因贈与による不動産の取得を相続債権者に対抗することの可否」
参照条文民法1条2項を基に認められないとの判決が出てました!
民法1条2項とは、「信義則の原則」といいまして、これは権利の行使、
義務の履行にあたっては、信義に従い誠実に行わなければならないとする
ものです。 言い換えると、相手の信頼を裏切ることなく、社会通念上の常識
の範囲で物事を行おうね!という基本的なルールを定めたものです。
要は借金だけを放棄し、プラスの財産だけはもらう、という虫のいい話はない!
という事ですね!たとえこの事例でいくと相続放棄をして、借金をなくして、
死因贈与契約に基づいてプラスの財産である不動産を登記したとしても、
債権者には対抗できない(私のものだ!と言えない)ということです!
後日、依頼者に上記の事を伝え、ご納得頂きました。
司法書士を不動産登記、相続登記等を中心に12年業務を行っておりますが、
まだまだ迷う事ばかりです!今後も精進して参ります!
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